last~舞い散る雪の羽根~
白塗りの校舎に入り、昇降口で若葉と別れて、教室に向かう。


市立雪ヶ丘高校。


まあ、県内ではそれなりに進学率の高い高校だ。


特に荒れているわけでもないし、ガチガチの進学校というわけでもない。


校則も厳しくなく、頭髪は自由だし、常識の範囲内でピアスや化粧なんかもオーケーとされている。


そんな校風が、おれはけっこう気に入っている。


とは言うものの、実はおれは適当にこの高校を選んだ。


まぁ、強いて言えば市立だから学費が安いとか、その程度だ。


おれにとっては、この雪ヶ丘市に住むということの方が重要だったから。


そう考えると、運がよかったと思う。


いわゆる夏休みデビューを果たした人間が多いらしく、周囲には比較的派手な外見の人間が多い。


だが、みんな派手になっているのは外見だけだ。


内面的にはたいして変化していない。


だが、おれは違う。


ひと夏の経験が、おれを変えた。


「ふっ」


軽い優越感に浸る。


ああ・・・。


誰かに自慢してぇ・・・。


おれは心の中でうずうずしていた。


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