last~舞い散る雪の羽根~
「お前、その転校生の顔は見たのか?」


「いや、実際に見たわけじゃない。だけど、うわさ好きの鬼塚さんが見たらしい」


鬼塚さんは、さっきまで匠が話していた子だ。


「めったに女子の外見を褒めない鬼塚さんが、可愛いって言うんだ。期待値大だろ?」


「あっそう」


おれは興味のないふりをした。


・・・あいつ、このクラスに来るのか。


少しだけ、胸が躍る。


「本当に、不健全なヤツだな・・・」


「お前は健全的に女と遊びすぎだ」


どういうつもりなのか、コイツはチャラいくせに一線は越えない。


だから、特定の彼女がいるわけじゃない。


そのくせに、おれの恋愛に対して何度も口を出してくる。


「いいじゃねぇか、彼女ができても一月と持たないっていうのを繰り返すよりはずっといいと思うぜ」


「知るか」


「・・・まったく、最近の和人と言ったら女の子に興味を持たないで男とばかり遊んで・・・」


「昔は女と遊び三昧だったみたいに言うな」


「見てろよ、転校生のハートは俺が掴んでやるからなっ」


「・・・勝手にしろ。それより、そろそろ鬼軽部がくるぞ」


「そうだな、じゃ、またあとでな」


「ああ」


匠は席に戻っていく。


それとほぼ同時に、教室のドアが開かれる。


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