last~舞い散る雪の羽根~
「・・・それで、花岡は結局ウチのクラスにきやがったんだ」


「へぇ」


出来上がったスパゲッティをすすりながら、世間話を始める。


うむ、なかなかうまい。


「でも、よかったですね」


心底嬉しそうにほほ笑む。


「花岡せんぱい、面白いひとですよ」


「確かに、おかしいヤツではあるな」


おれは笑いながら、近所のスーパーで安売りしていた麦茶をコップに注ぐ。


おれが手を差し出すと、小さくありがとうございます、と言って若葉がコップを渡してくる。


「ああいう性格なら、すぐにクラスにもなじめるだろ」


「そうですね」


「・・・そういや、アイツはなんで転校してきたんだ?」


「お父さんの仕事の都合って聞きましたけど」


「へぇ」


「お父さんとの二人暮らしだそうです」


「そうか・・・」


父親との二人暮らしか。


苦労しているんだろうな。


おれがお茶を飲み干した、その瞬間だった。



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