last~舞い散る雪の羽根~
ぴんぽーん。


インターフォンが鳴る。


玄関に向かってドアを開けると、中年の男が立っていた。


ワイシャツにスラックスといったいでたちは、敏腕企業戦士を想起させた。


「私はこういう者だ」


男が出した名刺は、一瞬で引き戻された。


「早くて見えなかったが・・・」


「査察に来た。家中、拝見させてもらう。御免っ!」


武士の挨拶と共に、家に入ってきた。


「ほうほう」


男は、部屋をぐるりと見まわしていた。


若葉は、目を白黒させて男を見ている。


「ほっほう。なかなか整理整頓されておる。掃除も行き届いている」


「・・・おい」


「男の一人部屋にしては上出来だな」


「おい、あんたっ」


おれは男の肩を引っつかむ。


「あんた、何者だ?」


「うるさい男だな、私はさっき言った通り、教育委員会の『方』から来た者だ」


「な!?」


教育委員会だと!?


おれはそんな面倒くさそうな所に世話になるような真似をした覚えはない。


若葉も同じようで、首をブルブルと横に振る。




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