last~舞い散る雪の羽根~
「ふふふ、ようやく事態が飲み込めたようだな」


男は勝ち誇った顔で麦茶をおれのコップに注ぐ。


「きみは、一人暮らしだそうだな」


「・・・ああ」


「母親から仕送りをもらって暮らしているのかね?」



「・・・それがどうした」


「ワウチッ!まさにそこが問題なのだっ!」


男は憤慨したように叫ぶ。


「きみはまだ未成年であり、年配者の保護を受けて暮らしている身でありながらっっっっっっっっ!!」


「っ!?(びくっ)」


男は若葉を指さす。


「このような狭い部屋で、毎日のようにこのような美少女と夜を共にしているとは、破廉恥極まりない行為ではないかぁぁぁぁ!!」


「なっ!?」


教育委員会はそんなことまで知っているのかっ?


「それだけではないぞ。バイト帰りにスパゲッティを購入し、なおかつ自力で調理して女性に振るまうという反国家的な――」


「・・・ちょっと待て」


「この現代日本において、料理のできる男はモテるということを見事に体現した、きみのような若者であふえかっているということは、日本の法制度と国家基盤の揺るぎに起因し、勅使河原一郎氏の提唱する教育理念とはまるで一致しない――」


「待てと言っている、エセ役人っ!!」



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