last~舞い散る雪の羽根~
「・・・つまり、あんたアレだな」


「何かね?」


「キチガイ、だな」


「ふむん」


コリコリと首を鳴らす。


「それが、何かね?」


「一度しか言わないからよく聞け。ぶんなぐられる前に出ていけ」


「なんとっ!出ていけだとぅ!!」


男はいちいちオーバーリアクションだった。


「父は悲しいぞ」


「父なんていない」


顔も知らない。


「腹を痛めて産んでやったのだぞぅ!」


「いいから出ていけ」


「花岡隆(はなおか たかし)という」


「聞いてねぇよ」


「お前はまだまだ子供だな、和人」


「そしてなぜ俺の名前を知っているっ」


おれが言うと、男は溜息をついた。


「やれやれ、落ち着きのないヤツだな」


「ぐ、ぐぐっ」


ダメだ・・・おれの苦手なタイプだ。


「ふむ・・・」


男は座り込み、おれのスパゲッティをすすりだす。



「おい和人、このスパゲッティ、あんまりうまくないぞ」


ぶちっ!


おれの中で何かが切れた。


「出て行けぇぇぇぇ!!!!!!!」


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