last~舞い散る雪の羽根~
「これでおれの2連勝だな。おい、ジュースおごれ」


「わかってるよ」


夏休み最後の日。


おれは、ゲーセンで全国ホッケー大会(参加者2名)に参加していた。


商品は、敗者負担でジュース1本。


おれの自己紹介をする前に、相手の負け犬の紹介をしよう。


松中 匠(まつなか たくみ)


外見的には、茶髪を少し逆立てた髪形に、1万を超える洒落た服が似合う程度の、どこにでもいるような男だ。


しかし、奴の正体は、一言で言えばチャラ男だ。


どれくらいチャラいかというと、1年のうち380日は女を侍らせているヤツだ。


匠が自販機に5百円玉を入れる。


「何がいい?」


「コーラ」


「わかった」


自販機のボタンを押し、コーラの入ったボトルが吐き出される。


それを取り出し、おれに渡す。


キャップを開け、ぐい、と一口喉に押し込む。


コーラの甘みと炭酸の感触が口の中に広がる。


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