【歪童話】帰れないグレーテル
森に入り、すぐ、グレーテルは焦げ臭い匂いが後ろからするのに気づきました

「大変、お兄様!わたしたちのお家が燃えてしまっているわ!」

するとヘンゼルはなだめるような声音で言いました

「もうあの家は僕たちだけで暮らすのに広すぎるから、父さんの弔いの意味も込めて僕が焼いてしまったんだ」

グレーテルは泣きそうになりながら叫びました

「でも、わたしたちの帰るお家がなくなってしまったわ」

ヘンゼルは、グレーテルの小さな手を握るとまた森の奥へ歩きだしました

「大丈夫。僕のいるところが、グレーテルの帰るお家だよ」

グレーテルはそれを聞くと安心して、また笑顔で歩きだしました
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