【短編】ねぇ…私を見て?
ルーくんはようやく顔を上げて

私を見てくれた。


「どうやったら優歌も舞歌みたいに笑ってくれるんだろうって

どうやったら、藤たちみてぇに甘い雰囲気を作れるんだろうって思ってたんだよ


っ…かっこわりぃ」



『ずっとお姉ちゃんが好きなんだって思ってた』



「だから、んな事ある訳ねぇっての!!

かっこわりぃついでに言うと

俺、本当はそんな心、広くない。


男と2人でいる優歌を見て平常でいられない。」



『う…そ…あの日だっていつもと一緒だった』



「余裕ぶってそう見せてただけ。

優歌一つも我儘言わねぇし…でも甘えさせて俺の腕の中だけでいればいいと思ってた」



信じられないよ…。


『だって……キスしか…してくれなかった』



…恥ずかしい。



「優歌に想われてる自信がなかった…


優歌だって一度も類って呼んでくれなかっただろ?


それに、一度抱けば二度と離せねぇし

腕の中に閉じ込めて誰の目にも触れさせたくねぇ」



『うそだよ…』



「何度目だよ?!

そんなに信じられねぇ?」



『…信じられる訳ない


だって、好きなのは私だけで

ずっと片思いだったんだもん』




「それは俺の台詞だ

優歌が…好きだよ


だから、俺の気持ち信じろ」



『ルーく』


言い終わる前にルーくんの口唇が触れる。


触れるだけのキスなのに優しくて…甘い。



「類って呼んで」


そう甘い声に痺れる


『…類』


そう言った瞬間、また触れたルーくんの口唇。


いつもと同じ優しいキスなのに…。


いつもより長くて、啄ばむように繰り返される。


酸素を求めて、少し口を開いた瞬間

ルーくんの…類の舌が私の口内に入り込み

私の舌を絡め取る。



優しくて…甘くて…熱い。


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