女番長
黙り込んでしまったあたしに、刑事さんはゆっくりと説明をはじめた。
「説明すると長くなるんやけど…。」
それからあたしは、いろんな話を聞いた。
最近この辺りで、ヤクザが関係してる事件が多発してること。
それで、それを止めるための"ヤクザ"を、警察でつくろうとしてること。
その大役に、あたしが抜擢されたこと…。
「いきなりヤンキーになれなんて、びっくりしたよな。ごめん。でも、やってほしい。」
そう言って、刑事さんはあたしを真剣な顔で見つめる。
「つまり、あたしの仕事は…。」
「"ヤクザの一番になって、周りのグループを自分の支配下におくこと"。」
言葉が出てこおへんかった。
何分くらい経ったやろ?
あたしはようやく口を開いた。
「やります。」
「え?」
「あたし、そのバイト受けます。」