女番長
「真希?どうしたん?」
加奈があたしの様子がおかしいことに気づいて、心配そうに聞いてくる。
「加奈…。」
「ん?」
「あたし行ってくる!」
「えっ!ちょっ…!真希!?」
あたしは後ろを振り返らずに、走って教室を出た。
「はぁ、はぁ…。」
生まれて今まで、こんなに走ったことはないかもしれないってくらい、あたしはダッシュしてた。
行き先も、何も考えてなくても体が勝手に動いてた。
「はぁ…。」
あたしの目の前にあるのは、大分前に使われなくなった工場。
そしてその扉は、少しだけ開かれていた。
この場所は、前にあたしを拉致したグループの基地で、そのグループのリーダーは…
美紀ちゃんの元カレ。
何でここに走ったんかは分からへん。
ただ、何かここやって思った。