女番長
「お待たせしました。」
そう言って戻ってきた職員の人の手には、しっかり婚姻届が握られてた。
「では、こちらに必要事項を記入して、こちらにご提出ください。」
「ありがとうございました。」
役所を出て再び歩き出した時、終始口を開かへんかったあたしを心配したのか、龍が言った。
「本間によかったんか?まだ出してないんやから、やめることできるで?」
その言葉にあたしは思いっきり首を横に振って、
「違うねん。ただ、実感できひんだけ。」
そう。
結婚なんか初めてやし、いきなり"結婚"っていう言葉を聞いても、あたし自身どう反応したらいいのか困ってた。
でも、結婚してほしいって龍に言われて嬉しかったのは事実やし。
本間に結婚したいって思った。