女番長
でも、まさか美紀ちゃんが見てたなんて、この時はまだ、知らんかった。
それと、これから起こる悪夢の連続にも…。
その日は、それからすぐにしおり作りを終わらせて、基地に帰った。
「真希さん、おかえりなさい。」
「ただいま…。」
帰ってすぐに、あたしは部屋に閉じこもった。
誰にも気づかれへんように声を押し殺して泣いてたら、急に達也が部屋に入ってきた。
「真希…、何かあった…?」
「…!う、ううん!何もないよ。」
「じゃあ何で、泣いてんの?」
「それは…。」
やっぱり、達也には敵わへんな。
あたしのこと、何でも知ってるみたいで…
隠し事できひんやん。
「実は…、りゅ、滝沢君が、うちの学校に転校してきてん。」
「うん。」
「それで、あたしが久しぶりって声をかけようとしたら、あたしのこと忘れたみたいに、『よろしく、上原さん』とか言われて…。」
達也は、ずっとあたしの話を静かに聞いてくれた。