女王蜂の爪


 「ねえ」
ハッチを「使って」良からぬ妄想をしてしまっていたあたしを不審に思ったのか、ハッチが話しかけてきた。
 びっくりした。びっくりした。
 「あ、な、何?ハッチ」
声裏がえっちゃった。恥ずかしいな。
「カレシと帰る」
ふん、と鼻を鳴らして、いつの間にか近くに立ってた男子の手を引いて歩き去ってしまった。


 「まぁたカレシ変えたんだ……」
置き去りにされるのも慣れてるから別に何とも思わなかった。
 それよりも、新しいカレシ。
ハッチはあたしが知ってる限りでの最短記録を更新したんじゃない?
 それだけ前カレがハッチに溺れるのが早かったってことか。


 それにしても、また明日からハッチに対する嫌がらせがキツくなりそうだった。








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