落とし子
 暖かい太陽があります。心地よい風も吹き始めました。

 二人の間に少しだけ静かな時間が流れます。

 でも、浴衣を着た子が口を開きました。

「じゃあ、ボクも怖い?」

 男の子は怖くないよ、と答えました。

 男の子は考えました。その間、浴衣を着た子はにこにこして男の子を見つめています。

「じゅあ、獅子も怖くないよ!」

「どうして?」

 男の子は言いました。でもその子はほほ笑むだけでした。

 男の子はこの子と友達になればいいのかな、と思いました。この子はちょっぴり、はずかし屋がりさんなのかもしれません。


「おいでっ!!」

 手を引きました。その子の手はとても細く、男の子の手よりもとてもしなやかでした。

 色白の手に男の子の力強い手があります。その子は顔を桃色に染めていました。

 二人ははかくれんぼをしました。

 最初はその子がおにでした。男の子は隠れます。

 いーち、にーい……、と声が聞こえます。

 草かげに隠れて男の子はそっと様子をうかがいました。

 きょろきょろと少し見渡した後、その子は一直線にこちらに走って来ました。

 そして……。

「みーつけた!」

 その子が指さしました。

 男の子はちょっとばかり悔しさをにじませていました。今度は男の子の番です。
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