落とし子
「いーち、にーい……」

 数をかぞえていると、ふとその子の気配がなくなったかのように思いました。

 でも、もういいかい? と聞くと、その子はもういいよ! と答えました。

 男の子はさっそく探し始めます。草かげ、木けげなどをくまなく探しました。

 でも、なかなか見つかりません。

(どこにかくれたのかなあ……?)

 ふう、と男の子がため息をすると、その子がひょいと現れました。


「わあっ!」

 あまりに突然で男の子はびっくりしてしまいました。

 その子はくすくすと笑って男の子に手をさしのべていました。

 男の子は起き上がりました。

「もう、びっくりしたよ!」

 男の子が言います。

「ごめんね。でも、ボクもう行かなきゃいけないんだ……」

 二人が空を見上げた時、一羽のからすがカアーッと鳴いていました。

 太陽はいつの間にか夕日へと変わっていたのです。
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