一男三女物語
黒幕
田辺刑事は、小野五郎の勤める新聞社に来ていた。

「すみません!高柳署の田辺と申しますが?経済部の方に面会したいのですが?」

そう言って受け付けの女性に申し出た。

「はい!しばらくお待ち下さい。」

そう言って受け付け嬢は、経済部に電話をかけた。

「お待たせしました。経済部は五階になります。黒岩を尋ねて行ってください。」

「ありがとうございます。」

田辺は経済部に着くと来客室に通され、しばらくすると黒岩という男が部屋に入ってきた。

「はじめまして!高柳署の田辺と申します。」

そう言って名刺を交換した。

「黒岩です。今日どんなご用件でしょうか?」

「実は小野五郎さんのことについてお話をお伺いしたくて…」

「小野ですか?私たちも今、小野を探しているんです。ニューヨークから帰って来てニ・三日日本にいると言っていたんですが?連絡がとれないんですよ?」

「そうですか!小野さんはどんな内容の仕事をされてたんでしょうか?」

「日本にいた時はだいたい政治、経済担当でしたので……ニューヨークでも同じだと思いますが?」

「何か最近不穏な行動などなかったでしょうか?」
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