一男三女物語
五人は一斉に家の中を探し回ったが証拠らしい物は何も見つからなかった。

「何も出てこないわ！」

真紀が諦めた表情で言った。

「ねぇママ！作戦変更しようよ！」

と亜紀が言いだした。

「どう言うことよ？」

「何も持ってないんだけど？いかにも何かを持っているように見せかけるのよ？」

「明日、向こうに電話かけてパパが日本に帰る前にもし自分が帰らなければこれを警察に渡すように言われて荷物を預かってるって言うのよ」

「そしたら向こうがどう動くか試してみるの」

「危険すぎない？」

「大丈夫よ！みんなボディーガードがついてるから」

外の車の中で田辺刑事がくしゃみをした。

「わかったわ！明日、松川大臣の事務所に電話してみるわ！」

「警察に相談しなくてもいいかな？」

早紀が田辺を思い浮かべて言った。

「警察が動き出すとパパの命が危ないわ！」

「そういうことで今夜は休みましょう」

祥子がそう言った時には、宗一郎は既に夢の中だった。
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表紙・目次

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