一男三女物語
翌日、祥子は松川勝利の事務所に電話をかけた。

「はい!松川勝利事務所でございます。」

と若い女性が電話にでた。

「私、新東南新聞社の小野五郎の家内です。実は松川先生にお話がありまして」

「たいへん申し訳ありませんが?ただいま、本会議中でして議事堂に入っておりまして」

「それでは、すみませんが大事なお話しですので、先生の代わりにお話をできる方はいらっしゃいますか?」

「はい!かしこまりました。第二秘書の青山に代わります。」

そう言ってしばらく保留の音楽が流れた。

「はい!代わりました。青山ですが、新東南新聞の小野さんの奥様ですね?」

「はい!実は……主人が行方不明になりまして、行方不明になるまえに大分松川先生のことを気にしておりましたので、そちらで何かご存じないかと思いまして」

祥子がそう言うとしばらく間があって……

「確かに以前うちの先生の取材ということでご主人は何度がお見えになりましたが?その後ニューヨークに転勤になられたと聞きましたが?」

「はい!よくご存じですね?それでニューヨークから4日前に一時帰国したんですが、それから行方がわからなくて困ってるんです。」
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