一男三女物語
証拠
田辺は、松川勝利の事務所に行った夜、早紀の護衛のついでに祥子と四人に面会した。

「はじめてお目にかかります。高柳署の田辺です。実は、空巣事件、宗一郎君の拉致未遂事件と何かと縁がありまして」

田辺が祥子に挨拶をした。

「こちらこそ色々お世話になりまして……特に早紀が貴男に迷惑をかけてると聞きました。」

「迷惑だなんてとんでもない。」

二人の会話を聞いていた早紀は、やっはり田辺は大人だなぁと感心していた。

「ところで、ご主人のことで何かわかったことは、ないですか？」

「えぇ…何の進転もなくて…｣

「今日、松川勝利の事務所に電話して青山秘書と話しをされましたね？」

祥子はドキッとした。その会話を聞いていた四人もちょっと驚いた表情で田辺を見た。

「はい！主人がいつも松川先生の話をしていましたから…」

その時、祥子の携帯が鳴った……祥子は、すみませんと田辺に断って携帯にでた。

「はい！小野ですが？」

「もしもし、小野さんの奥さんかい？」

と中年のいかにも悪人いう感じの低い男の声だった。
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