一男三女物語
「みなさん!気持ちをしっかり持って聞いてください!今、上崎埠頭で四十代と思われ男性の死体が発見されました。」

五人は、青ざめた表情で田辺の話を聞いた。

「パパ死んじゃったの?」

宗一郎が目に涙をいっぱい浮かべて言った。

しかし誰も言葉を発することができなかった。

「でも、変ね?本当にパパなの?」

亜紀だけが納得いかない表情で田辺を見た。

そこに再び玄関のチャイムが鳴った。

「誰よ?こんな時に?」

真紀が不機嫌そうに言った。

「私だ!開けてくれ!」

その声を聞いてみんな一斉に立ち上がって玄関に向かった。

「パパ!生きてたの?幽霊じゃないでしょうね?」

「おいおい勝手に殺さないでくれよ!いいから家に入れてくれ!」

やっと五郎は、家の中に入りソファーに腰を下ろした。

「何がどうなったの?」

祥子が聞いた。

「それが俺にもよくわからないんだ?とにかく無事に帰ってこれた。真紀!悪いが何か食べさせてくれないか?腹ペコだ」

「わかったわ!任せて!」

五郎は、田辺を見て……

「あなたは?」

「警察です。お疲れのところ恐縮ですが署まで同行お願いできますか?」
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