一男三女物語
「わかりました。その前に腹拵えさせてくれないか」

「わかりました。」

田辺は、急いで署に小野五郎氏が無事に自宅に帰ってきたことを報告した。

「今、署に連絡を入れたんですが、今日は小野さんの健康状態を配慮して明日、署の方で話を聞きたいと言うことです。今夜はゆっくり休んでください。」

「ありがとう!私も今日は疲れてるし…助かるよ」


「パパお帰り!本当によかったわ!」

祥子が瞳に涙をいっぱい溜めて言った。

「みんな!心配かけたなぁ!」

「パパが無事に帰ってこれただけでみんな嬉しくてたまらないわ」

「でも、さっきの死体は誰なの?全く関係ない人だったんだね?」

真紀が不思議そうに言った。

「いや、違うよ!たぶんパパを誘拐した犯人よ!」

亜紀が何気ない顔をして言った。

その時テレビの画面にさっきの死体のニュースが流れた。

《今日午後8時ごろ上崎埠頭で四十代の男性と思われる死体が発見されました。調べによれば殺されたのは、指定暴力団………》

そして殺された被害者写真が画面に映された。

「こいつだ!俺を監禁していたのは!」

五郎は叫んだ。
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