恋の決心★
鏡越しに、武君の視線を感じる。
閉店後、誰もいない広々とした空間で、ハサミの開閉する音だけが響き渡る。
慣れない手つきの武君に、私はボブスタイルにカットしてもらっている最中だ。
三十センチ位はバッサリと切り落とされていた。
巧はロングが好きだった。
だから、彼の好みに合わせていた。
この別れをきっかけに、髪型を変えてみたくなった。
徐々に床に舞い落ちる髪の毛を見つめ、私は瞳を閉じて力一杯メールを送信した。
同時に、全身の力が抜けていったような気がした。