子羊ちゃんのユウウツ
…男のコの手だ。
思わず、彼の手をマジマジと眺めてしまう。
「何やってんだ」
りゅーじくんは、
手をつないでも一歩後ろを歩くあたしを不思議そうに見た。
慌てて足を速め、隣に並ぶ。
「ご、ごめんね」
「いや、いいけど…」
向かいから来る人にぶつからないように歩くと、
自然とりゅーじくんと肩がぶつかる。
あたし…、
ホントにりゅーじくんとデートしてるんだ。
シャンプーか何か、かすかに香る彼の香り。
彼の熱。
おかしい…。
りゅーじくんのこと、何とも思ってないはずなのに、
男のコと近くにいるってだけで、胸のドキドキが止まらない。