子羊ちゃんのユウウツ
試合前に何か言うつもりだったのか、
すぐそばまで来ていた。
その顔には驚きの表情が浮かんでいる。
「…なんだよ、それ」
りゅーじくんがつぶやいた。
彼が今の話を聞いてたのは、間違いない。
…最悪。
「あの、違うの!」
あたしは言い訳しようとしたけど、
りゅーじくんは背中を向けて、歩きだした。
小走りでその背中を追いかける。
「…待って!」
りゅーじくんは止まらない。
あたしは先回りして、
りゅーじくんと向かい合った。
彼は歯をくいしばっていた。
「…わかってるよ」