しちがつなのか
女王様の騎士

西棟につけられている、非常階段。
錆びた臭いがする、薄汚れた場所。

ここは、どの棟の校舎から見ても、見えにくい場所になっていた。
誰も近づいてこない。
稀に近づく人がいても、この階段を上ってくるような人はいなかった。

この場所を見つけて、一週間が経つ。
見つけた最初は、『誰も来ない、すごくいい場所!!』だと嬉しく思いながら一番上まで上ったが、そこには人がいただろうと思われる、まだ古くない形跡があって、かなり落胆させられた。

それでも毎日この階段を、一番上まで上る。
ほんの少しだけ小綺麗にされた場所に腰を下ろし、読みかけの本を楽しむ。この学校で、唯一あたしに与えられた、ひとりの時間。

それは、とても貴重な時間だった。

2回目の1年生。転校時期と、入学時期が重なり目立たないが、居心地は良いとは思えなかった。
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