しちがつなのか

遠くからは、生徒たちの楽しげな声が聞こえてくる。

ここがあたしだけの場所になるばいいのにと、ずっと誰も来ないことを願っていた。

しかし、その願いは、儚くも消えてしまったようだ。

一週間誰も来なかった場所、それも昨日まで自分が座っていた場所に、見知らぬ青年が座っている。
相手をまじまじと見ているが、相手は気づく様子がない。
手元の本だけに、視線を注いでいる。

彼の長い指が、ページをめくろうと動いた時、ようやく青年はこちらを見た。

漆黒の髪、切れ長の双眸。
強く睨まれているような、強い視線。
不機嫌そうに引き結んだ真一文字の唇。
睨まれていると断言しても良さそうな状況なのに、あたしの中には怒りの感情がまったく沸いてこなかった。

数秒後、その引き結ばれていた唇が開かれた。

「……こんにちは」

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