しちがつなのか
唐突なその言葉に驚いたあたしは、「こんにちは」とオウム返しに答えてしまった。
すると青年は静かに立ち上がると、あたしのすぐ側までやってきた。
背が高い。
細いと感じさせるような肢体だが、肩幅が意外に広いので、軟弱そうではなかった。
間近で見ると、整った顔だなあと思った。
肌もパーツも配置も。
なんていうのかな、左右対称?
睨まれているように思えたのは、少しつり上がっている目と、上から見下ろされていたせいだと思った。
何よりも印象深いのは、彼の瞳の色だ。
冷たい、翡翠色。
「名前は?」
低く、深い声だった。
「…………紅月由羅(アカツキユラ)」
身構えるあまり、無愛想な声が出た。
でも自分の声が無愛想なことが、いつもそうなのだということに、すぐに気づく。
「そう……俺は、黒崎綾人(クロサキアヤト)」