しちがつなのか

「失敗しても俺たちは笑わないし、幻滅もしない」

彼の手から、やわらかに伝わってくるぬくもり。やさしく触れる、彼の温度。

「大丈夫だ。お前はひとりじゃないだろ」

穏やかな熱が、あたしの心を落ち着かせてくれる。

そうだ。
あたしはひとりじゃない。

一度目を閉じて、きっと目を開けた。

目の前には、綾人がいた。その隣には、千聖と、伊織がいた。翔太と玲もいる。

それぞれ騎士のような衣装に身を包み、腰には模造剣を携えている。

「そのドレス、よく似合ってるね。いつもの数倍綺麗だよ」
「似合うのはトーゼンよ。ワタシが作ったんだからね」
「マジ化けたよな~」
「美しいな」

それぞれが口々に意見を述べる。

あたしは自分の着ているドレスを見下ろした。布をふんだんに使った、真紅のドレス。普段のあたしには、絶対似合わないモノだと思った。

「紅は女王の色、紅のドレスは戦闘服」

それを3回繰り返した。
 
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