しちがつなのか
千聖は、今回の式の脚本を書いた。
伊織は、あたしのドレスを作った。
翔太と玲は、音響と照明と舞台装置を。
綾人は、女王になるための練習にずっと付き合ってくれた。
あたしは、今からステージに向かう。ステージに立った時、あたしは“女王”になる。
“女王”はひとりではなれない。みんなでつくりあげていくもの。
「女王陛下、準備はよろしいですか?」
「フォローするのは騎士の役目だ」
「うん」
ドキドキドキドキ……
心臓が猛スピードで鼓動を打っている。でも。
さっきまでの怖いっていう気持ちも、体の震えも消えていた。
たぶん、大丈夫。
失敗しても、なんとかなるよね。うん。
だって、今、あたしは“勇気”をもらったから。
あたしは“女王”
冷酷で無慈悲。
気まぐれで、偏屈。
誰よりも傲慢で、誰よりも美しい人。
レーナ・ウェントワース・アーリ・ブルーム
深く息を吸い込み、一歩踏み出した。