才ある者の哀しみ
「人よりよく気がつく」とか
「人より君は優しい」とか
最初はすごく嬉しかったんだ…


人を救いたいと思った
今もずっと思ってる
幸にも僕の才は
人の気持ちがよくわかること
言葉という手段なしでも
手に取るようにわかるんだ
常に気持ちを考える癖も
自然とできてしまっていた


みんなはとても喜んだよ
僕をいつも頼ってくれる
それはすごく嬉しかった

心配してくれるやつもいた
それもすごく嬉しかった
でも結局は上辺だけで
がっかりさせるくらいなら
最初からそんな言葉はいらない


時には僕の心にも
余裕がなくなったりもするんだ
誰かに頼りたくなったり
助けてほしかったりもするんだ


けど特別なこの才のせいで
助けがどこにも見つからない


「君は才能があっていい」と
羨ましそうな顔をしないでくれ
才ある者には その者にしか
知りえない苦しみ 哀しみがある


本気で自分以外のやつを
救いたいと願ってみろよ

自分のことを差し置いて
救えないことを恐れてみろよ


そんな心を持ったやつに
いつの日にか逢いたいな…
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