向日葵《短編》
『確か先輩だよ。う~んと、サッカー部の中村先輩とか!』
中村?
あぁ、あいつか。
あの3年の、中村翔《なかむら しょう》だな。
確かに中村先輩は優しいし、かっこいい。
でも…唯は渡さない。
『唯と仲良いのか?』
『さぁ?でもよく二人で話してる』
プツンと糸が切れた気がした。
俺の中の糸が、一本。
なんだ?この怒り。
昨日のサッカーの試合よりムカつく。
唯は俺のもんだ。
誰にも渡さない。絶対…
俺は休み時間、唯のいる教室へと向かった。
『葵君だっ!かっこいいね~!!』
俺が廊下を通る度、こんな声が耳に入ってくる。
お前らになんか言われても嬉しくねぇよ。
俺が欲しいのは…
キミだけ───……