向日葵《短編》
『なぁ葵?』
…またあなたですか?
俺は聞こえないようにため息を漏らし、後ろを振り返った。
『中村先輩?』
後ろには、中村先輩が立っていた。
中村先輩は俺の隣に腰を下ろし、顔を真っ赤にして俺を見つめた。
中村先輩は確かにかっこいいし、優しい。
少し茶色いサラサラの髪の毛に、綺麗な二重の瞳。
狙っている人は沢山いるだろう。
そして…俺の宿敵。
『ひとつ聞きたいことがあってさ』
『なんですか?』
俺はスパイクについた泥を拭き取りながら先輩の話を聞いていた。
先輩が話すことはなんとなくわかる。
あいつのことだろ?
『唯ちゃんのことなんだけどさ…』
ほらな?
やっぱり…
俺は顔には出さず、無言のままだった。