向日葵《短編》
どくんっと弾む心臓。
先輩はにこっと微笑み俺を見た。
俺は唯たちの方に歩み寄り、唯に『帰るぞ』と言い、先に進んで行った。
『葵、待って!じゃあ先輩、さようなら!』
唯は先輩に挨拶をし、俺の後をついてくる。
イライラが募る。
眉間に皺を寄せ、出来る限り顔には出さないように努力をするが、唯は俺の変化にすぐ気づいてしまう。
『なに?どうかしたの?』
…なんでそんな優しいの?
『別に…なんにも』
『何かあったんでしょ?』
…鈍感女。
『だから何にもだって』
『絶対何かあった!言ってよ!ね?』
唯は俺のスポーツカバンを掴み、俺の足を止めた。
心配した表情を見せる唯。
俺はそんな唯をしばらく見つめ、すぐに視線を逸らした。
…俺、お前が好きだ…