向日葵《短編》
なんでこんな言葉を言ってしまったのだろう?
…悔しい、なんでだよ…
気がついた時は、辺りは真っ暗で、今俺がいる場所は、住み慣れた自分の部屋だった。
フローリングの床が冷えていて、とても冷たい。
『…お兄ちゃん?』
すると急に、真っ暗だった部屋が明るくなった。ドアの方を見ると不思議そうに俺を見つめる茜が立っていた。
『…どうしたの?部屋、真っ暗にして』
『いや、別に』
俺は茜の言葉を軽く流して、ベッドの上に座った。
少し軋むスプリング。
不気味な音を出す掛け時計。
そんな周りの音でさえ、茜の声でさえ、俺の耳には届いて来ない。
『お兄ちゃん?唯ちゃんと喧嘩でもしたの?』
『別に?喧嘩なんかしてねぇよ』
『ふ~ん』
茜は俺が冷たい口調で話すせいか、こんな俺に呆れて自分の部屋に戻ろうとした。