向日葵《短編》
~2.どしゃ降り~
学校までの道を、俺は唯の歩幅に合わせて歩いていく。
まだ、雨は降っていない。
だが唯の表情が次第に今日の空のように曇っていく。
こういう場合、どうすればいいんだよ?
手を握ってあげればいいのか?
俺はこんなことばかり考えていた。
『ね、葵?』
すると突然唯が俺の学ランの袖を掴んだ。
『なに?』
俺は唯を見下ろす。
唯は俺を見上げて、話の続きをし始めた。
『今日、麻由を葵のクラスに連れてくから、仲良くしてあげてね?』
あっ、忘れてた。
昨日のこと。そうだった。仲良くしたくないけど、仲良くしなきゃな…
俺は唯が安心するように笑顔を見せた。
心の中の自分とは正反対の姿だ。
唯は『ありがと』と言って、ゆっくり歩み始めた。
前に歩く唯。
抱きしめたい、と思った瞬間だった─…