向日葵《短編》
でも、そんなこと出来るわけない。
出来るかよ、そんなこと。
もしそんなことをしたら、唯は更に不安な表情を見せるだろ?
唇をぎゅっと噛み締めて、唯のあとをついて行った。
教室の前で唯と別れ、教室に入る。
空が暗いせいか、教室は朝から電気がついていた。
『葵、おはよ』
『おう』
輔は相変わらず元気だ。その元気さを分けてくれよ、と言うように、目で訴えた。
『ん?どした?』
『別に』
俺の席は、窓側の一番前の席。
外がよく見える席だ。
俺は暇さえあればここから街の景色を眺めたりする。
…だけど、今日は眺めたい気分じゃない。
その理由は、
この天気と、俺の心が原因なんだ。
振り向いて欲しいのは、キミだけなのに…
『葵、ちょっと聞いてくれよ!』
輔の話でさえ耳に入ってこない。
空の色が更に増していく…