向日葵《短編》
俺は唯が好きで、
麻由はきっと俺が好きで、唯と麻由は友達で…
わけが分からなくなりそうだ。
まるで糸がこんがらがった状態とでもいうのだろうか。
逃げたい、逃げてもいい?
心の中の俺が必死になって叫んでいた。
『ほら、麻由。麻由も自己紹介しなよ!』
唯が小声で麻由の耳元で囁く。
麻由は小さく口を開き、こう言った。
『麻由…です。よろしくね、葵くん…』
『おう。』
確かに麻由は可愛いかもしれない。
ふんわりとした空気を持っていて、女の子らしい。
でも、俺の心臓はリズムよく弾んだりはしない。
だって、唯の方が、何百倍、何千倍と、美しいから─…
『二人とも、仲良くするために握手しなよ!ね?』
そんな俺の気持ちに気がついていない唯は、勝手に事を進める。