向日葵《短編》
唯はなにも分かっていない。
俺は再び自分の席に戻り、空を見上げる。
いつでも降り出してはおかしくないのに、一向に降り出そうとしない雨。
…なにかが、起こりそうだった。
授業中も空ばかり気になって、シャーペンをクルクルと回しながら、空に集中をする。
お昼になっても、雨が降る気配はない。
良かった。このまま降らないでくれ。
唯が悲しむから─…
…そして時間は過ぎ、放課後。
俺は約束通り、唯のクラスに向かった。
唯のクラスに着くと、クラスには誰もいなかった。
『唯は?てゆか、麻由も』
唯と麻由の姿がない。
二人共カバンはある。
トイレかな?と思い、俺は二人を探しに行った。
一階の渡り廊下を通ると、俺の足が止まった─…
なぜならば、ずっと奥の方に、唯の姿があったから─…
丁度その時、空が怒ったような音を出し、稲妻が走った。
その瞬間、俺は衝撃的なシーンを目撃する。
『中村…先輩?』