向日葵《短編》


真っ暗な空が、時に眩しく光りだす。
光った数秒後、遠くの方からゴロゴロと、唸る音が聞こえてくる。
雷は、そんな近くにいないな、と思わせる。

だけど、目の前の光景に、感情が奪われていく。


『…なんで…?』



その光景とは、衝撃的な光景だった。



中村先輩が、唯を抱きしめていたんだ…



なんだろう?この脱力感。
なんだろう?このぽっかりと空いた穴は。


俺は呆然と立ち尽くし、ただ、ただ、その光景を見ていた。



俺だって…まだ唯を抱きしめたことないのに…

中村先輩に先を越された…


いや、違うかもしれない。
唯も中村先輩が好きで、二人は両想いになったから抱きしめ合っているのかもしれない…



俺は下を向き、目に涙をたくさん浮かべた。


そしてその溜めすぎた涙は、廊下に静かに落ちていった…



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