向日葵《短編》
涙を指で祓い、くるりと後ろを向き、その場から離れて行った。
眼鏡を外し、涙を丁寧にふいていく。
『…くそっ…』
俺が後悔している間、空からは…唯が嫌いな雨が降っていた。
屋根や窓にあたり、激しい音を作る雨。
どしゃ降りの雨。
俺の心の中も、どしゃ降りだった…
頭の中が真っ白で、目を閉じるとあの光景が蘇る。
…ほらな、あの言葉は嘘だったんだろ?
唯がこの前、好きな人はいない、といったあの言葉。
結局嘘かよ。
中村先輩が好きだったんだ…
こう考えれば考えるほど、悔しくて、
その悔しさが涙と変わる。
あと…どれぐらい泣けばいいのかな?
唯におめでとう、と素直に言えるのかな…?
…唯、唯──…
キミは俺から離れてしまうの?