向日葵《短編》
唯が離れていく…
そう実感した時だった。
俺は気力が無くなった体を唯の教室まで動かしていく。
カバンを唯の教室に置き忘れてしまった。
眼鏡をはめて、泣き顔を隠した。
教室に着くと、麻由がぽつんと一人で座っていた。
『あれ?』
俺は平然を装って、麻由を見る。
麻由は未だに緊張をしているのか、顔を下に向けた。
『どこに行ったのかと思って探してたんだ』
自分のスポーツカバンを手に持ち、麻由に近づいた。
『ごっごめんね?トイレ行ってて…緊張してたから…緊張をほぐしてた…』
『それで緊張はほぐれた?』
俺が意地悪く言うと、麻由は涙目になって、俺を見つめ首を横に振った。
…この子、意外に面白い?
『あはは!なんだそれ!』
麻由の天然さに笑ってしまう自分。
まるで、唯たちのことを忘れるかのように…大声で笑った。