向日葵《短編》
『葵くんの意地悪~!』
麻由はぷいっとそっぽを向いてしまった。
俺は笑うのをやめ、麻由の頭を撫でてあげた。
『怒るなって!!』
『…怒ってないよ?』
麻由は顔を真っ赤にして、はにかんだ笑顔を見せた。
…麻由なら、唯を失った空白を埋めれるかな?
するとその時、ひとつの足音が教室に近づいてくる。
教室に現れたのは、暗い顔をした唯だった。
…どくん。
やっぱり、唯を見ると心臓が弾む。
『唯、お前どこに行ってたんだよ?』
唯は俺をちらっと見て、自分の席に座り、用具を片付けている。
…中村先輩とどうなったの?
なんて聞けるわけない。
『なぁ、唯?大丈夫か?』
唯は雨が大嫌い。
だが空は豪雨。
梅雨の季節だからかな?
一向に止む気配はない。
唯の顔を覗くと、案の定、不安そうな顔をしていた。