向日葵《短編》
茜は携帯を閉じ、俺のあとをついてくる。
俺はタオルを取りに行くため、洗面所に向かう。白いタオルを取り、濡れた髪の毛をふいていく。
『ね、ね!なんかあった?』
しつこい茜。
まるで餌をくれ、くれ、と言っている犬みたいだ。
『うぜーな』
俺は階段を上って、自分の部屋を目指す。
茜は相変わらず俺のあとについてきて、しまいには、部屋まで入ってきた。
『教えてよ!!』
『…なぁ、茜?お前さ、唯とよくメールとかするよな?』
俺の問いかけに茜は『うん』と頷いた。
『好きなやつのこととか話すか?例えば…先輩とか』
俺は学ランをハンガーにかける。
茜は昔のことを思い出すように、上を向いて、必死に思いだしているようだ。
『あっ、そうそう!唯ちゃん、忘れられない人がいるって言ってた!』
え…?なんて?