向日葵《短編》
『…お兄ちゃん?』
茜の声で現実の世界に戻ってきた。
『鳥になりたい子…?』
唯とお揃いのキーホルダーを持っている子は、
唯の宝物を持っている子は…
鳥になりたい子?
謎がまた謎に変わった。
どういうことだ?
『そいつと会ったりしてんのかな?』
『さぁ?知らないよ?
ていうか、男の子かも分からないじゃん!』
『あ…そっか…』
確かにそうだ。
その《鳥になりたい子》がまだ男と決まったわけではない。
『お兄ちゃんヤキモチ妬きすぎ!』
茜はこう言って腹を抱えて笑っていた。
そんな茜の態度に腹が立ったのか、茜を部屋の外に追い出していた。
『でてけ!!』
『けちー!!』
部屋の外から茜の拗ねている声が聞こえてくる。
俺はCDコンポの中に適当にCDを入れ、大音量で曲をかけた。