向日葵《短編》


二つに髪の毛を結び、右手にはウサギのぬいぐるみを持ち、悲しそうな瞳をした、キミが俺の視界に飛び込んできた。



キミを見た瞬間、俺の心が大きく揺れ動いたのを覚えている。



『…あれが…』



キミに釘づけになったのか、俺は言葉を詰まらせてしまった。



キミはお父さんらしき人と手を繋ぎ、隣の家へと入っていく。
俺はその光景を彼女が見えなくなるまでずっと見ていた。




『お兄ちゃん何してるの?』



すると一つ下の妹の茜《あかね》が俺を不思議そうに見つめこう言ってきた。



『別に何にもだよ』



俺は踏み台をひょいっと飛び下りて、母さんが用意した洋服に着替えを始めた。


茜は『ふ~ん』とだけ言って、一階へと下りて行った。



まだ…熱い。


今日の太陽光みたいに…


俺の体が熱を帯びていた。



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