向日葵《短編》


『あっこれ?姉ちゃんに貼られたんだ!擦りむいちゃってさ。そしたらこんな絆創膏しかくれなくて!』


輔はその馬鹿げた絆創膏を手で隠しながら恥ずかしそうに説明をしていた。


『ウケるし』


『しょうがねぇだろ!教室行くぞ!』



輔は顔を真っ赤にして、俺の腕を掴み、教室へと足を進める。



『葵君!おはよ~!』



唯のクラスから俺の名を呼ぶ声。


『お、麻由!おはよ!またな!』



俺に声をかけたのは麻由だった。
麻由に手を振り、笑顔を見せて去って行った。

麻由とはあのどしゃ降りの日以来、毎日会話をするようになり、今ではすっかり仲良しになった。

毎日麻由と会話をしたら、いつか麻由を好きになるかもしれない、と俺は勝手に思い込んでいた。


…でも、俺の心の中には…



『最近仲良いよな、西川と』



『まぁね?』



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