向日葵《短編》
輔は眉間に皺を寄せ、何かを考えているようだった。
『ん?でもさ…?』
輔が何かを言おうとした瞬間、俺の歩む足が止まった。
なぜならば、目の前には髪の毛の毛先を触りながら歩いてくる、キミが近づいてくるから。
急に激しく動きだす心臓。
麻由を見ると、こんなことにはならないのに…
こうなるのはキミだからかな?
『葵?』
輔の声が、心臓のでかい音で消されてしまう。
手にじわじわと汗がかいてくる。
『……消えて…』
目をぎゅっと閉じ、この想いが消えることを願った。
そして再び目を開けると、キミと俺の距離はわずか数メートル。
キミは髪の毛の毛先から、ゆっくりと視線を上に向ける。
…どくん…。
目が…合ってしまった。
目が合うとキミはにっこりと笑い、俺の名を呼んだ…
『葵…』