向日葵《短編》


その瞬間、俺の体全体に熱が走った。

次第に熱を帯びていく。

声が、体が…働かない。

金縛りにあったかのようだ。
唯は俺のところまで走ってきて、『おはよ!』と挨拶をした。


俺はハッと我に返り、『うん』と、冷めた口調で唯に返事をし、唯の横を通り、足早で教室に入って行った。


唯はもう一度俺の名前を呼んだが、俺は聞こえないふりをした。


これ以上、唯と関わりたくないから…



俺より少し遅れて輔も教室に入ってきた。
顔を険しくさせて、俺の方に向かってくる。



『葵って菊地が好きなんじゃねぇの?!』



『はぁ?』



突然こいつは何を言い出すのかと思えば…


輔の声が大きかったらしく、教室にいた人たちの声が一気に静まり、シーンとなった。



なんだ?この空気。
なんだ?この静けさは!!



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