向日葵《短編》
輔を見ると、先ほどと同じで、眉間に皺を寄せ、怒った表情をしていた。だが、その変な柄の絆創膏のせいで、全く怖くない。
『葵は菊地が好きなんだよな?』
もう一度、輔は俺に聞く。
俺は溜め息を零してこう言った。
『好きじゃないけど?ていうか誰が唯を好きって言った?』
『好きじゃねぇの?!』
輔は目を丸くし、マヌケな表情に変えた。
『好きじゃねぇよ!あいつはただの幼なじみだ!』
怒りを露わにし、俺は立ち上がり机を叩いた。
輔は俺から一歩身を引き、次は驚いた表情を見せた。
初めて自分の気持ちに嘘をついてしまった。
《ただの幼なじみ》
そんなことなんて思ってないよ。
唯はいつも心の中にいて、俺の大事な人…
でも、この想いはもうおしまい。
俺の想いは消さなくてはならない。